私は“義侠心”で仕事をやっているのです

(Q)花村さんに仕事をお願いしたいので、契約書を取り交わしたいのですが……。


(A)うちの事務所は契約書は取り交わしません。


(Q)……はぁ?


(A)成り行きで最後までいってしまいます。今まで契約書を取り交わしてから仕事をやったことはありません。


(Q)それでちゃんとした仕事ができるのですか?契約書を取り交わさず仕事をするなんて前近代的で恥ずかしくありませんか?


(A)自慢はしていません。……が、しかし、恥ずかしいとも思いません。それに契約書を取り交わしたからといって仕事の質が良くなるわけではありません。


(Q)そんな理屈は外国では通用しませんよ。


(A)外国で仕事をするつもりはありませんからいいのです。


(Q)でも仕事を依頼する方から言えば、ちゃんと契約書を取り交わしてお願いしないと不安なのですが?


(A)契約書を取り交わしたから安全というのも解せませんが……。私は「性善説」で仕事をしています。一瞬で私を信用してくれるお客さんとだけ仕事をしているのです。だから私は、“一肌脱いでやろう”という“義侠心”で仕事をするのです。“義侠心”に契約書は似合いません。
 契約で縛るよりその方がよほど安全確実です。私はまだ一度もお客さんを裏切ったことはありませんし、一度もお客さんから裏切られたこともありません。
 どうしても契約書を取り交わしたいのなら、あなたが契約書の案を作ってください。