税務調査を受けるときのコツ

(Q)私は先日、税務署の調査を受けました。その際、税務署員の態度にむかついたので大声を出して喧嘩をしてしまいました。そのせいかどうか分かりませんが、しっかり税金を追徴され、反省しているところです。
 花村さんの経験から税務調査を受けるときのコツを教えていただけるとありがたいのですが。


(A)税務署員に対して大声を出して喧嘩をするのは得策ではありません。税務署員に対してむかつく気持ちはよく分かるのですが……。


 それでは税務調査を受けるときのコツをお話しましょう。


 まず第一は「余計なことは喋らない」ことです。これはとても大事なことです。税務調査では聞かれてもいないことをべらべら喋る人が多いのです。コーフンしているからでしょう。聞かれたことだけに答えればよいのです。分からないことは「分からない」とはっきり答えます。その場逃れや曖昧な話をしてはいけません。こちらに不利な質問や答えにくい質問に対しては自信をもって貝のように“沈黙を守る”ことです。“自信をもって”というところが大事です。今どきの人は沈黙を恐れる人が多いのです。自信をもって沈黙を守っていると彼らはあなたのことを「薄気味悪く」感じるはずです。そこが狙いです。
 なかには税務署員とうち解けて話がはずみ得意になる人がいますが、そんなことは何のメリットもありません(喧嘩するよりはマシですが)。税務署員と“仲良し”になっても良いことはひとつもありません。
 喋れば喋るほど税務署の土俵に乗ってしまいます。沈黙を守れば守るほどこちらの土俵で勝負できるのです。なぜなら、こちらの見解は当初の申告書のなかに表現しているのですから、もともと、こちらから話すことは何もないのです。こと税務調査に限って言えば“沈黙は金”です。


 第二は「税務署員の言葉に反応しない」ことです。これは税務署員の言うことを無視するということではありません。税務署員の言葉に“意味づけをしない”ということです。税務署員の言ったことに対して、いちいち「むかついた」とか「頭に来た」とかと反応しないことです。税務署員の言った言葉を単なる「音」と認識するのです。税務署員が何か言ってきたら「音、音、音」と心の中でつぶやきます。そうするとバカ犬が吠えているように思えて平常心を保つことができます。
 これはあなたが上司から叱責を受ける場面でも応用できますので、ぜひ試してみてください。このコツを知っているだけでもあなたの人生が変わります。つまりこの世は、あなたを通して存在するのです。あらゆる対象にあなたがどう“意味づけ”するかであなたの人生が決まります………??。お役に立ちましたでしょうか。