白色申告のすすめ

(Q)私は個人でアパート経営を営んで青色申告をしております。このたび、税務調査が入りました。問題は現金出納帳や元帳を付けていなかったことです。それで「青色申告を取り消す」と言われたのです。
 領収書などはしっかり整理、保存して金額も集計表に記載していましたし、不正も一切やっておりません。それでも青色申告は取り消されるのでしょうか?


(A)実務上、あなたのような真面目な納税者に対して「青色申告の取消し」をすることはめったにありません。調査した税務署員の“虫の居所”が悪かったのでしょう。
 かつて税務署は青色申告を普及させるために猫も杓子も(ボケ老人や字の読めない人にさえ)青色申告を勧めていた時代があったのです。今になって手のひらを返したように青色申告の要件を満たしていないという理由で「青色申告の取消し」をするのは“だまし討ち”と言えます。


(Q)私は運が悪かったのでしょうか?


(A)う〜ん……、時速40km制限の道路で10Kmオーバーのスピード違反で捕まったようなものです。青色申告の要件は厳格に運用すれば日本の納税者の99%は「青色申告取消し」になります。だから税務署員が調査の際に「青色申告取消し」を脅しに使うことがあるのです。
 だったらあなたはこれを逆手に取って「青色申告の取消し」をされる前に「青色申告の取下げ」を出してやればよいのです。「ばかばかしくてやってられるか」という意思表示です。
 みんなそろって「青色申告の取下げ」をやれば税務署もあわてることでしょう。それに帳簿付けなどというバカバカしいことをしなくてすむので国民の多くがもっとおおらかに生きていけます


 あなたの場合、青色申告の特典を受けておられるのは青色申告控除のたった10万円だけです。税額にすればわずか数万円といったところです。たかがこの程度の節税メリットで一年中、帳簿付けのプレッシャーに悩まされるのはバカバカしいとは思いませんか?


(Q)帳簿付けのプレッシャーから解放されると思うとホッとします。今まで確定申告時期になると頭が痛くなっていたのです。


(A)税金が安くなるからといって気に染まないことをやると神経がやられます。だいたいアパート経営に帳簿付けなど必要ありません。暗算でもやれるじゃありませんか。それこそ「牛刀割鶏」です。税務署のためだけに砂を噛むような思いをして帳簿付けをしている人がいますが気の毒としか言いようがありません。「命を削って節税」なんて本末転倒です。


(Q)花村さんのおかげで目が覚めました。自信を持って青色申告を返上します。これからは枕を高くして眠ることができますし、税理士さんにお金を払わなくてもよくなるので節約になりますしね。


(A)私たち税理士は商売あがったりになりますがそれでよいのです。「人間社会のルール」なんてテキトーに付き合っておればよいのです。それよりイヤなことはしないという「宇宙のルール」に従う方がはるかに大切なことです。青色申告なんて糞食らえという気概でいきましょう。