税理士になった動機

(Q)花村さんは、なぜ税理士になったのですか?


(A)昨日、お話しましたように、私は会社勤めできる人間ではないと悟りました。そこで、何か独立できる資格を取らなくては、と思いました。資格取得案内の本には、税理士はソロバンと電話があれば独立できると書いてありました。転職を繰り返し、まったくお金がない私でしたから、お金がなくても独立できるという、ただそれだけの理由で税理士の資格を目指して勉強を始めたわけです。税金や会計の勉強は少しも面白くありませんでした。「他人の税金の計算や帳簿付けをして、いったいどこが面白いのだ」という気持ちで勉強していたのです。それでも、独立してお金が入るようになれば楽しくなるだろう、と歯を食いしばって勉強しました。試験に合格し、独立したのは昭和58年でした。やっとサラリーマンから抜け出したのです。今の仕事が天職とは思っていませんが、二度とサラリーマンに戻ることはないでしょう。自由業の空気を吸うと、もう“かたぎの世界”には戻れません。“組織のくびき”から解き放たれていない連中を見ると哀れに思い、「こっちへおいで」と言ってやりたくなります。
私が願ったのは“サラリーマンからの脱出”です。だから、なにも税理士でなくてもよかったのです。