相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例

(Q)私は一昨年の夏、父を亡くし市街化区域内農地(畑)を相続しました。私は二男です。私には不仲の長男がおり、相続争いの果てに手にした畑です。
  私の支払うべき相続税1千万円は延納(分割払い)で納付しています。しかし、固定資産税の宅地並み課税と相続税の延納の税金で家計が苦しく、妻もパートで働くようになり機嫌が悪くなりました。
 サラリーマンの私には畑の草むしりは苦痛で仕方がありません。毎晩、草むしりの夢を見てうなされている今日この頃です。畑を売りたいのですが兄が先祖の土地を売ることに反対して困っています。


(A)いくら相続する権利があるからといって、利用もしない土地を相続するものではありません。自業自得です。
 固定資産税と延納の税金に耐えられないのなら売却するかアパート・駐車場でもして稼ぐしかないでしょう。


(Q)アパートとか駐車場は管理が面倒そうなのでやりたくありません。


(A)じゃあ、売るしかありませんね。


(Q)でも、それは兄が許してくれません。「ご先祖様の土地を売るな!」と言うのです。


(A)それならお兄さんに買ってもらえば……。


(Q)兄弟に売ってもいいのですか?


(A)兄弟間で売買するのは自由です。相続税の申告期限から3年内の期間は、相続税分を取得費に加算する特例を使うことができます。この特例は親族間の売買でも適用できます。ただし、お兄さんとの間で売買価額で折り合うことが必要ですが。


(Q)その特例って、相続税を納めるために土地を売却した場合に限り、認められる特例ではなかったのですか?
 仮に土地が売却できたとしても、私は土地の売却代金をマイホームのローン返済に充てたいのです。相続税の支払いには充てるつもりはありません。それでも特例を受けることが出来るのでしょうか?


(A)特例の期間内の譲渡であれば、その売却理由の如何や売却先を問わず、この特例の適用を受けることが出来ます。