相続税の時価申告

(Q)私の父が亡くなりましたので、相続税の申告をしなければなりません。しかし、相続した土地の評価を2億円と聞いてびっくりしました。付近の不動産業者の方に聞くとせいぜい1億円でしか売れないとのことです。このような場合、1億円で評価して申告することは可能なのでしょうか?


(A)相続した財産の評価は時価により申告することになります。しかし、時価の算定は極めて難しく、通常は「財産評価通達」をもとに算定して申告することになります。もしそれによって算定した評価額が時価とかけ離れている場合には、時価を算定して申告することも可能です。
 この場合、作戦として二通りあります。ひとつは不動産鑑定士さん等により合理的に算定した評価(例えば1億円)を当初申告で用いる方法(積極戦法)です。
 もうひとつは当初申告ではとりあえず2億円で申告をしておき、その後、“更正請求”で税金を取り戻す方法(消極戦法)です。
 どちらの作戦をとるかはケース・バイ・ケースです。積極戦法で申告をした場合、それが2億円の評価の方が正しいと税務署が判断すれば、その立証責任は税務当局にあります。反対に消極戦法で申告する場合には、その評価についての立証責任は納税者側にあります。
 通常は消極戦法で申告する場合が多いのです。なぜなら、もし納税者の主張する評価が認められない場合、税金が追徴され加算税や延滞税の負担が生じてしまうからです。この場合には時価1億円と評価した根拠をしっかりと説明できるようにしておかなければなりません。