あえて言えば私の人徳のいたすところでしょう

(Q)相続税の申告期限までに遺産分けが決まっていない場合、申告はどうすればよいのですか?


(A)相続税の申告期限(相続から10ヶ月目)までに遺産分けが決まっていない場合でも法定相続分で相続したものとして計算し、申告期限までに申告しなければなりません。そういうのを「未分割申告」と言っています。


(Q)そういうケースは多いのですか?


(A)珍しくはないと思います。


(Q)私の知り合いの税理士さんは相続税申告の半分以上が「未分割申告」ということでした。「未分割申告」と後日遺産分けが決まったときにまた「修正申告」が出来るので二度儲かると言ってました。


(A)あははは。確かに二度儲かります。割り切ってやっておれば、それはそれでおいしい仕事かも知れません。


(Q)でも、税理士さんなら申告期限までに遺産分けが決まるように努力すべきではありませんか?


(A)税理士が遺産分けをまとめようとするのは“余計なお節介”です。遺産分けに介入せず中立に話を進めるのが税理士の仕事です。あくまで相続税の申告業務のお手伝いをしているのであって弁護士ではないのですから……。


(Q)それなら遺産分けで揉めた場合、花村さんは放っておくのですか?


(A)私が関与する相続税の申告ではほとんど揉めることがありません。期限内に円満に解決します。私は二十数年、相続税の申告ひと筋で仕事をしていますが、いままでに「未分割申告」はたったの二件だけ、1%以下です。これはひとえに私の仕事の進め方が良いからです。


(Q)花村さんの仕事の進め方で何かノウハウがあるのですか?


(A)淡々と仕事をやっているだけです。特別なノウハウというのは自分では分かりません。自分でも分からないから他人から真似をされることもありません。これこそが本当のノウハウです。あえて言えば私がお客さんに恵まれているということと、私の人徳のいたすところでしょう。


(Q)花村さんは謙虚なのか厚かましいのか、わけが分かりませんねぇ。