代書屋、かつ、便利屋

 お客さんの自宅で確定申告書の作成のお手伝いをした。ノートパソコンと携帯用プリンターを持ち込み、その場で申告書をプリントアウトし完成させるつもりでいた。国税庁ホームページの確定申告書作成コーナーですべてを完了させるつもりだったのだが……、


 遅くて使い物にならない。お客さんが目の前で熱心に見てくれているのだが、間が持てない。テンポが悪くて気まずくなる。途中でイヤになってやめてしまった。手書きの方が圧倒的に速い。


こういう場合の理想的な仕事の進め方は、こちらは口だけ動かして、お客さんに清書してもらうことだ。お客さんは清書することにより、「そういうことだったのですか」と税金に対する理解が深まり、喜んでくれる。2,3年も続ければ自分で確定申告ができるようになる。これでお客さんが自立して、“お客さんでなくなっていく”のはめでたいことである。


何でも自分で抱え込んで仕事をしていると代書屋、かつ、便利屋になってしまい、いつまでたっても肉体労働から解放されない。それにそんな税理士をお客さんがバカにするようになる。結局“過剰サービス”はお互いのためにならないということだ。