禁錮16日目

 朝4時起床。晴れ。入所の頃に比べてずいぶん暖かくなった。当初は寒くてコタツから抜け出せなかったが、もうコタツはいらない。
 
 早朝のうちに洗面、歯磨き、それから洗濯と部屋の掃除まで済ましてしまう。下着は毎日取り替え、洗濯は2日に一度の割合で、さらに部屋の掃除もこまめにやっている。ずぼらな私にしては考えられないほどの変わりようだ。ここでは一番の模範囚といえる。
 
 遭難して奇跡的に助かった人に共通するのが“まめ”なことである。一日も欠かさず日記を書いていたとか、絶えず身体を鍛練していたとか。“ずぼら”では危機的状況を乗り切ることは出来ない。“ずぼら”では正気を保てないのだ。断食中は毎日、ブログを更新した。これも良かった。
 
 「“まめ”に暮らす」。断食で得た第9の教訓(第3〜第8までの教訓は秘密)だ。
 
 回復食になってから一週間経った。身体は完全に回復した。猛烈に腹が減る。このまま下界へ帰れば、バカ食いしてしまいそうだ。回復食の期間が長いのは身体が粗食・少食に慣れるまでを考えてのことかも。それなら合理的だ。
 
 ノート・パソコン(レッツ・ノート)の調子が変。10回に9回の割合で立ち上がらない。立ち上がった後も固まってしまう。風前の灯火だ。だましだまし使っているが、もうダメかも。せめて、あと5日、釈放の時までもてばよいが。
 
 ゴールデン・ウィークに入ってから、俄然、受刑者の数が増えてきた。大阪から来たというMさん(会社員、30代前半か)は毎年、ここ静養院で断食をするリピーターである。一週間の予定とのこと。毎回、一週間のコースを選んでいるらしい。「リラックスにはここに来るのがいちばん」と言っていた。同感だ。確かに海外旅行や温泉巡りよりはるかに安上がりで心身共にリフレッシュできる。“断食で心身共にリフレッシュ”私も癖になりそうである。
 
 毎年来ているMさんによると今の時期が最高とのこと。私もそう思う。ベストシーズンに来たわけだ。ここは冷暖房がないので夏や冬はつらいだろう。