禁錮15日目

 朝5時起床。晴れ。
 
 五分粥から七部粥に変わった。粥一膳、味噌汁。それに初めてゆで卵がついた。
 
 回復食開始と同時に、近くの宝山寺に散歩に出かけている。ゴールデン・ウィークのせいか参拝客で賑わっている。“生駒の聖天さん”と言って人気スポットらしい。
 
 宝山寺奥の院へは急峻な坂道を登らなければならない。断食で体力(特に足腰)はかなり低下した。リハビリを兼ねて毎日お参りしている。ゆで卵を食ったので精がついた。
 
 本断食開始と同時に始めた禁煙はまだ続いている。禁煙を目的に断食を始めたわけではないが、せっかくだから続けている。禁煙というより断煙といった方が適当だ。本断食中はタバコを吸いたいという気持ちはまったく起こらなかった。当然ながら禁錮刑に服してから酒も飲んでいない。もうこれは“仙人”というより“聖人”の生活だ。
 
 仙人には“天仙”と“地仙”がある。“天仙”は天に昇る、レベルの高い仙人。“地仙”とは地上の俗世間中にいる仙人のこと。私がなりたいのはレベルが低い方の“地仙”だ。“地仙”なら酒も飲むし、タバコも吸う。仙人はカスミを食って生きる、という場合のカスミはタバコのことと私は理解している。
 
 地仙になって稼ぎまくるのだ。相続というややこしい案件を扱う仕事をしていると、仙人的気分でなければやってられない。これも稼ぐための方便である。……う〜む、俗世へ還る心の準備も出来てきたようであるな。