禁錮9日目

 朝5時起床。晴れ。昨夜は猫が発情しおって「ニャ〜ゴ、ニャ〜ゴ」と一晩中うるさかったわい。春なのだ。


 本断食7日目。本断食は今日で最後となる。明日から回復食だ。まだ何日でも断食できそうである。これでは物足りない。しかし、断食初心者は7日が限度ということらしい。ベテランでも10日が限度とのこと。我が尊敬するマハトマ・ガンジーは生涯に18回断食をした。その断食日数の合計は160日と言われている。それなら一回平均は約9日間となる。ガンジーでも9日間だから、7日間の断食でも良しとしよう。
 
 予備断食期間(2日間)、本断食の期間(7日間)、回復食の期間(12日間)と回復食の期間が一番長い。
 
 先輩受刑者の話を聞いても、本断食がつらかったという人はいない。それより皆、回復食期がつらいと言う。回復食期の初日は重湯一杯だが、かえって空腹がこらえきれなくなりそうだということだ。断食後、バカ食いしてしまっては元も子もなくなる。普通の人間ではなかなか食欲をコントロールができないのだ。断食をわざわざ道場でやるというのは、断食後のケアのためである。
 
 ここにきて確信したのは「人は食べなくても生きられる」ということだ。人は水と空気と光だけで生きていける。人は空腹で死ぬことはない。“飢餓の恐怖”で死ぬのだ。空腹で死ぬと思い込む心が体を死に追いやるのである。
 
 人間の体は、生命誕生以来、35億年連綿として生きてきた奇跡の命である。一週間やそこら食わなかったからといって、死ぬわけがないではないか。人間は長い間、飢餓との闘いだった。人間の細胞も飢餓に耐え得るようできている。現在の飽食の時代は人類にとって経験したことのない異常な時代なのである。
 
 毎日、三度三度飯を食うなどとんでもないことだ。食い過ぎである。食事をしなければ退屈なのだろっ!。惰性で食っているだけだろっ!。腹一杯食って満たされているか、諸君!
満腹になって満足しているのは錯覚だ。一度、食わない歓びを味わってみないか。
 
 飽食のブタどもよ!グルメ・リポーターどもよ!「食うな!もう何も食うな!」