症状即療法

 一昨日は一日中、嘔吐と下痢を繰り返した。食あたりかと思ったが、数日前のカミさんと同じ症状なので胃腸風邪と判明。
 たまたま“一日断食”の日だったので、何も食べないまま嘔吐と下痢をし放題。いつもなら体力の消耗を気遣って無理にでも食事をとるところであるが、生水だけで一日を過ごす。薬も一切摂らない。体調は崩したが身体も精神も疲弊することはなかった。“症状即療法”の考え方を知っていたおかげである。
 甲田光雄氏の本を読み断食を始めた。その甲田光雄氏の説のもとになっているのが西勝造氏の“西式健康法”である。
 “西式健康法”によると“症状即療法”を次のように語っている。「病気による症状とは、体内に外部から入った、あるいは内部的に生じた有害な素因を駆逐するために、からだに備わっている自然良能が発露した結果である。すなわち療法である」
「症状は病因に対抗するものだから、それ自体を駆逐することには何の意味もない。それどころかかえって病気の回復を遅らせる」
 そうであれば、嘔吐も下痢も自分の身体が治ろうとしている一過程にすぎない。自分の身体を信じていれば慌てることはない。薬を服用することもナンセンスである。
 この当たり前のことを身をもって実験できて分かったことが喜ばしい。
 さらに、私の尊敬する中村天風氏はこう言っている「本当の自分の姿は宇宙エネルギー(霊魂)。心も身体も道具にすぎない」「自分の身体を本当の自分と思ってはならない」「病気になっても本当の自分まで病んでいるわけではない」
 身体面では西勝造氏、心の持ち方では中村天風氏、ともに明治生まれの気骨のある人の本に触れることができたのは幸いである。
 ゆえに、久しぶりに体調を崩したが心持ちはまことに妙であった。私が仙人となる前途は洋々である。