禁錮21日の開始

 午後4時、奈良県生駒の静養院へ到着。まず、びっくりしたのが、建物が粗末なことだ。部屋も4畳で狭いだけでなく古くて、今どきびっくりするほどみすぼらしい。それに少々かび臭い。大正7年創立というから建物もそのくらい経っているのかも知れない。この建物そのものが“非日常体験”である。予備知識なしで訪れたら惨めな気持ちになるだろう。ホテルや旅館に長逗留するような気分で入るとアテがはずれる。
 最初に簡単な院長の問診があるが、血圧を測るわけでも聴診器をあてるわけでもない。あっけないほど簡単だ。
 院長からの注意事項は「水を多めに飲むこと」と「何もしないこと」ただそれだけだ。義務的な日課は何もない。めちゃくちゃシンプルだ。講話を聞かなくてもよいし、座禅も組まなくてもよい。ヨガに励むこともない。「何もしないこと」それがここの“売り”だ。
このシンプルなところが気に入ってここを申し込んだのだ。本当に「なぁ〜〜〜んにもない」し「なぁ〜〜〜んにもやらなくてよい」のだ。
 まさに禁錮21日の開始である。