土壇場の処世術

 見たか?今夜の報道ステーション東横インの西田社長の記者会見だ。大笑いだ。人間プライドを捨てると、ああまで豹変できるのか!という見本であった。まさに手のひらを返したような態度とはあのことだ。
 記者の質問にはまともに答えず、ひたすらお詫びの言葉を繰り返すだけ。あれは高等戦術だ。土下座でもすれば完璧であった。記者たちから集中砲火を浴びる場面だが彼は乗り切った。俺は彼を見直した。ただのボンクラ社長だと思っていたが、普通の人間では、あそこまでにはなれない。誰か背後に指南役がいたのか?
 税金の世界でも彼の態度はいい教訓になる。脱税がバレてどうしようもなくなった場合、“開き直る”か“泣き喋る”かしかないのだが、“泣き喋る”典型を見せてくれたわけだ。
 「お許しください」「私が悪うございました」「もう二度といたしません」「でもそんな多額な追徴金を払うお金がありません」「私を助けてください」などとプライドをかなぐり捨てて泣き喋るわけだ。それでうまく行くかどうかは保証の限りではないが、やってみる価値はある。これは税理士ではできない。納税者みずから泣き喋らなければならない。どこが高等戦術か、それはプライドを捨てることなのだ。なかなかできることではないからだ。あともうひとつ高等戦術がある。それはボケることだ。