税理士は遺産分けに首を突っ込まないのか

(Q)私はいま相続税の申告をある税理士さんにお願いしています。相続人全員が遺産分けについてどうすればよいのか分かりませんので、税理士さんに相談しながら遺産分けを進めたいのですが、税理士さんには「分割協議が決まってから資料を持ってきてください」と言われました。そんなものなのでしょうか?


(A)税理士の相続税の仕事のやり方には二通りあります。積極的に遺産分けに首を突っ込むタイプと、遺産分けは相続人に任せて税務申告のみの仕事をするタイプです。
 私は前者のタイプです。なぜなら、遺産の分け方に工夫をこらすことにより、納税対策や二次相続対策のノウハウを盛り込むことができるからです。
 後者のタイプの税理士さんは、遺産分けの揉め事に巻き込まれたくないのでしょう。遺産分けの揉め事に巻き込まれてしまうとストレスが溜まり、もう二度と相続税の申告などしたくなくなるものです。こういう税理士さんの気持ちも私は理解できます。
 しかし、もっとも肝心で力仕事でもあり、しかも税務のノウハウを発揮できる遺産分けから逃げていると本当の相続税の申告とは言えないと思います。
 私も遺産分けの揉め事に巻き込まれると、うんざりしてしまいます。いくら申告報酬をもらっても割に合いません。それでも私たちのように中立な立場で遺産分けを調整していく人間も必要だと思い頑張っているのです。
 はっきり言って相続人だけで遺産分けがスムーズにまとまるケースは極めて稀だと思います。なぜなら、いまどきの人は相続人間の利害を調整してリードできる人がいません。それに親戚のオジさんや近所の長老などが出てきて話をつけるような時代でもないのです。