相続税の物納

(Q)相続税の物納で土地を物納したいのですが、「いい土地」でなければ認めてもらえないと聞きました。本当でしょうか?


(A)まず、何より知っていただきたいことは、物納物件の選択は納税者がするのです。税務署があれこれ指示をして選択するのではありません。

 
 国が土地の物納を認めるのは「管理または処分をするのに不適当な財産」以外のものです。「管理または処分をするのに不適当な財産」とは、相続税法基本通達42-2に規定されています。ここに規定されている「不適当財産」に該当しない限り、物納は可能と思えばよいのです。さらに、物納申請時点で「不適当財産」であっても国に収納されるまでに、「不適当財産」から「物納適格財産」に仕立て上げることができれば、物納は可能です。


 たとえ、「物納不適当財産」から「物納適格財産」に仕立て上げることができない場合でも、いきなり「却下」されることはありません。この場合には物納申請された財産は「物納不適当財産」だから他の財産に差し替えなさい、という「物納財産変更要求通知」がなされます。それから20日以内に他の物件に差し替えてもよいのです。(最終的に物納が認められれば、申請から収納まで何年かかろうとも延滞税や利子税の問題は生じません)


 従って、物納するには捨ててしまいたいような不良物件を優先的に物納申請するべきです。たとえ収納までに時間がかかっても、不良物件が物納できれば、その後は天地の差が生じます。相続税での物納は不良財産を始末する千載一遇のチャンスです。「物納天国、延納地獄」これが相続税の納税です。


 不良財産を物納申請するには「勇気と根性」が必要です。途中で「腰砕け」にならないこと。これに尽きます。財産を守るために必要なことは、「知識」も必要ですが、それより何より「勇気と根性」が必要なのです。勇気を出して不良財産から物納してください。


 不良財産であってもそれなりに「財産価値あり」として相続税がかけられているのです。
その「不良財産としての評価」で物納申請しているのですから、物納を認めないという理屈は、どう考えてもおかしいと思いませんか?国の勝手な理屈に屈服することはありません。